江戸時代からつづく
「出雲庭園文化」の保全に努めます。

出雲流庭園は、出雲地方で育まれてきた地域の宝です。未来に残すべき大切な出雲遺産だと信じています。 出雲空港に降り立つ飛行機の窓から見ると家々には必ずといって良いほど庭が造られています。無数の庭が点在する風景は、出雲地方の誇るべき大切なもので、他の地方では見られません。

かぞれ切れないほど造られた出雲流庭園が、今、危機に瀕しています。 人々のライフスタイルの急激な変化と庭の魅力と楽しみ方が失われていったのが、その原因だと思っています。

出雲流庭園は、寺院や武家の庭ではなく庶民の庭です。出雲の人々がコツコツと長い年月をかけて庭を造り続けてきた証だと思っています。 庭の中心には県木であるクロマツが美しく仕立てられています。庭の隅には大きな立石が、庭の両端には来待石灯籠も据えられています。枯山水様式の庭となっており、池などの水辺がないのも大きな特徴です。 同じようなデザインの庭を造り続けた出雲の人々の庭へ思いとは、何だったのでしょうか。そこには五穀豊穣、子孫繁栄、家内安全などの願いが秘められていると思っています。その謎を解き明かすことも大きな『出雲流庭園の魅力発見』の一つだと思っています。

出雲流庭園は出雲の人々が造り上げた個人の庭です。一人一人がその庭の価値と魅力を知り、守り育てていくことが重要なことはいうまでもありません。

ところが、庭の伝承が少しずつ失われ、その魅力が忘れ去られようとしています。 当たり前のように庭に据えられている来待石灯籠が、他の地方では出雲灯籠として珍重されていることを知らない人も増えてきました。縁起の良い『出雲七木』の伝承も薄れ欠けています。庭の手入れの費用も馬鹿にならないことを嘆く人も多いと聞いています。 このような中、私たちは、出雲流庭園の魅力を再発見し、その価値を分かりやすく広めることが出雲流庭園の保護保存にはもっとも大切だと考えました。効率的な庭園の維持管理も積極的に取り組むことも課題です。 このことから、私たちは、『出雲流庭園保存会』を発足し、活動を始めることとしました。

出雲の庭を造り育てる事を生業としてきた造園業のものが出雲流庭園の魅力と大切さについて大きな声を上げました。これから出雲の庭を守っていくにはどのようにすれば良いかを考えてまいります。 出雲の庭を大切に守り育ててきた皆様とともに出雲流庭園の保存に向けて力を尽くしたいと思っています。 造園業の皆様はもとより毎日庭に親しんでおられる出雲流庭園を愛する皆様の出雲流庭園保存会へのご参加を心よりお待ちしております。